CLA(共役リノール酸)に関しては非常に広範な領域で研究が行われ、欧米では脂質関連領域の専門誌に研究論文が頻繁にみられるよう
になってきています.この脂肪酸は、これまで私たちが経験してきたどの脂肪酸にもない特異的な生理活性を有しており、すでに米国では体
脂肪低減をうたって市販されており、わが国でも同様の意図で市場に出回っていることは周知のことと存じます。
しかし、わが国でのCLAに関する研究については、おそらく既にいくつかの研究室で何らかの取り組みがなされているようですが、まだ学会
や学術誌などでの発表はごく限られています.CLAは非常に多様な機能性をもつ脂肪酸ですので、研究の展開や応用にはいろんな意味で
広い知識が不可欠と思われます。そのためにも、何らかの形でCLAに関心を持つ研究者が一堂に会して意見を交換できる場が求められま
す。このような場は、今後の研究展開や商品開発などに大いに資するに違いありません。
そこで、大変僭越ではありますが、菅野と山田が世話人となって、CLA懇話会を発足させる計画を立案しました。この懇話会は、学会あるい
は研究会とは異なり、自由な雰囲気の中でいろんな分野からの情報を提示して頂き、忌憚のない意見の交換を行って、所期の目的が達成
できるように運営していきたいと考えています。
爾来、この趣旨に則り、毎年1回研究発表会を開催してきました。この間、関連企業に醵金をお願いし、会員に負担をかけることなく、円滑に
会を運営しております。懇話会という自由な雰囲気の中で、結構厳しい意見の交換もあり、決して安易に流れない素晴らしい会合を持ってき
ております。参加諸氏のご理解の賜物と感謝する次第です。数年前からは、日清オイリオグループ株式会社からの援助により、優れた講演
を表彰することも行っており、今後一段の発展を期するところ大なるものがあります。どうか、関連分野に関心を持つ方々は是非ともご参加頂
くようお願い申し上げます。
最後になりましたが、世話人の一人である九州大学山田耕路教授による会の運営への絶大なご尽力があって初めて、会の運営が可能とな
ったことに対し、心からお礼申し上げます。








平成11年夏にCLA懇話会を立ち上げ、毎年1回研究発表会を開催してきておりますが、現在第12回の発表会開催の準備中です。
「堅苦しい“学会”ではなく、お互いに忌憚のない情報交換の場」を持ちたいという発足当時の基本理念のもとこれまで懇話会を運営してまい
りましたが、お蔭様で非常に多様な機能性を持つCLAについて広い視野から討議を行い、意見を交換して多くの成果を上げ、学界と産業界
の活動を結び付に役立ってきました。とくに、一昨年の第10回懇話会では記念講演会を開催し、その時点でのCLA研究の現状と課題を総括
するなど、懇話会は十分な役割を果たしてきたと自負しております。
研究には「創造性」が最も重要であることはいうまでもありませんが、CLAという脂肪酸についても、新しい視点からの創造性溢れる研究成
果が集積してきています。しかし近年、ある意味では「頭打ち」の様相は避けられず、とくにわが国では研究者の数も限られており、本懇話
会としても今後の展望を求めて種々思案を重ねてきました。そして、研究対象をいくらかでも広げれば何らかの解決の道が拓けるのではな
いか、と考えるようになりました。一方、現時点ではCLNA(conjugated linolenic acid)についての研究が関心を集めており、共役リノール酸
の名称ではすべてをカバーできない状況にもあります。このような背景から、まず、懇話会の名称変更が発展的意味からも妥当ではないか
と考えるに至りました。
そこで世話人に集まり頂き、意見を交換した結果、CLAも機能性脂肪酸のひとつであることから、懇話会の新しい名称を「機能油脂懇話会」
と変更することで意見の一致を見ました。この変更により、該当する研究者の数は倍増し、一段と自由闊達な懇話会として学際的発展の拡
大が期待できるに違いありません。どうか、諸事情をご勘案の上、これまで以上に積極的に新しい懇話会にご参加下さいますようお願い申
し上げる次第です。なお、外国に向けてのわが国の研究の発信源として従来「CLA network in Japan」という英語名を用いておりましたが、
国際的な面をも勘案して、この名称は残し併用することに致しました。機能性油脂懇話会の英語名は目下検討中で、両者を並べることにな
ります。
学問の進展には改革は不可欠です。「新しい酒は新しい器に」との格言通り、本懇話会が新しい名称のもとに一段と発展し、研究の分野で
名声を得ることを大いに期待しております。懇話会の運営は従来の方針を基本としますが、積極的なご意見を拝聴したいと念じております。
皆様方のご理解とご支援をお願い申し上げます。



平成22年2月10日

菅野道廣


  菅野道廣先生(発足時・代表世話人)のご紹介

   略歴:


 1933年
 1957年
 1962年

 1997年
福岡県久留米市生まれ。
九州大学農学部農芸化学科卒業。
同大学院農学研究科終了、農学博士の学位取得。米国ハーバード大学
博士研究員、九州大学農学部助手、同助教授を経て、1975年同教授。
九州大学を停年退官、同年熊本県立大学生活科学部教授、同学部長
を経て2000年、熊本県立大学学長、2004年退職、現在に至る。

学会活動等:

日本栄養・食糧学会副会長・理事・評議員・受賞選考委員長・学会誌及び欧文誌(J.Nutritional Science and Vitaminology)編集委員長、日本農芸化学会理事・評議員・支部長、日本油化学協会常議員・日本動脈硬化学会評議員、必須アミノ酸研究委員会委員、日本脂質生化学会幹事、コレステロール研究会名誉会長、加工油脂栄養研究会会長、必須脂肪酸と健康研究会会長、厚生省日本人の栄養所要量策定検討委員会検討委員、学術会議第6部研究連絡委員会委員、The Lipids編集顧問、財団法人日本食品油脂検査協会理事、くまもと食の安全県民会議議長などを歴任。



    賞:

日本農芸化学会奨励賞、日本栄養・食糧学会賞、日本油化学協会論文賞、日本農芸化学会功績賞、安藤百福記念賞受賞。日本栄養・食糧学会名誉会員、日本農芸化学会終身会員、American OilChemists’Society及びInternational Union of Nutritional Sciencies、 Fellow、International Society for Fat Research、 Honor Roll。






1) 平成11年に菅野道廣先生を代表世話人として発足したCLA懇話会は、毎年10月から12月頃にかけて講演会を開催してきました。
2) CLA懇話会では、CLAの生理機能、分析、生産、合成などジャンルを問わず最新の研究成果・知見を紹介して頂き、活発に討論して頂
いてきました。研究発表は『懇話会』という事もあり、堅苦しい『学会』ではなく、お互いに忌憚のない情報交換の場として開催して参り
ました。
3) 平成18年度からは、CLA懇話会としてホームページを開設するとともに、機能油脂に関する基礎情報や懇話会などのお知らせを随時掲載致しました。
4) 平成22年よりCLA懇話会は機能油脂懇話会に名称を変更し、より幅広い分野での議論ができればと考えております。学生の皆様の積極的なご参加をお待ちしています。また、懇話会後の懇親会においても、参加された研究者間の連携・情報交換の場としてもご出席して頂くようにお勧めしています。
5) 平成28年より、明治大学教授・長田恭一先生が代表世話人となりました。(〜平成27年まで:菅野道廣先生。)
6) 事務局は平成23年より、日清オイリオグループ株式会社へと移されました。(平成11〜17年まで:九州大学山田耕路教授、平成18〜22年まで:宮崎大学福田亘博教授、山崎正夫助教。役職は当時。)
世話役として、このnetworkを介して、日本における機能油脂の最新情報を皆様方に配信できればと考えております。
(文責 日清オイリオグループ株式会社)

〒104-8285 東京都中央区新川1-23-1
日清オイリオグループ株式会社
            
〒235-8558
 神奈川県横浜市磯子区新森町1番地
 日清オイリオグループ株式会社
 中央研究所 小島 圭一
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